適格合併による繰越欠損金の利用

 平成13年に組織再編税制が導入され、さらに平成18年に会社法が施行されてから、組織再編のほとんどは大企業で行われてきました。
 今後は、大企業で蓄積された実務上のノウハウを中小企業が順次、活用していく段階に入ってきたように思います。
 そこで今回は、適格合併による繰越欠損金の引継ぎに絞り、中小企業に活用していただくために解説します。
 論点は色々ありますが、中小企業に限っていえば次の5点になります。

(1)繰越欠損金の引継制限が課されないようにすること。
(2)適格合併に該当するために金銭等の交付はしないこと。
(3)期首合併ではなく期中合併を行うこと。
(4)合併比率は適正にすること。
(5)被合併法人が債務超過であり、無対価合併を行う場合は、合併前に少数株主から株式を買い取って
  100%子会社にしてから合併する。

1.繰越欠損金の引継制限が課されないようにすること。

 具体的には繰越欠損金の引継制限が課されるか否かについては、以下のフローチャートにより判定されます。





2.適格合併に該当するために金銭等の交付をしないこと。

以下のものを除いて、金銭等の交付をした場合には、非適正合併に該当するため、合併契約書作成に当たっては、注意しなければなりません。


3.期首合併ではなく、期中合併を行うこと。

 適格合併を行った場合、合併法人が被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐことができる事業年度は、合併の日の属する事業年度以後の各事業年度である。
 したがって、翌期の期首に合併するよりも、当期中に合併する方が1年早く繰越欠損金を使用することができます。
 とはいえ、期末又は期末近くの日を合併の日とすると、包括的租税回避防止規定に触れる危険性があるので、合併スケジュールに余裕をもって、決算期末から4ヶ月前ぐらいから合併作業にとりかかる必要があります。


4.合併比率は適正にすること。

合併比率を適正にしないと、合併法人の株主と被合併法人の株主との間で贈与があったとみなされるからです。


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