試験研究費税額控除の活用

中小企業は、大企業に比べて試験研究費税額控除を活用している事例は少ないように思います。
この制度は、新たな支出の必要もなく、又、利益も減少しませんので、理想的な節税対策です。
ぜひご検討ください。

1. 従来からの制度の概要

平成18年4月1日から平成20年3月31日までに開始する事業年度においては、以下のようになっています。




総額型
計算式 : 試験研究費×(8%+※試験研究費割合×0.2)
      ※試験研究費割合=試験研究費 /当期を含む過去4年間の平均売上
        試験研究費割合が、10%以上のときは10%とします。
以下の要件を満たす中小企業者は、試験研究費×12%
中小企業者とは、次に掲げる法人以外の法人をいう。

増加型
条件:試験研究費の額 > ※比較試験研究費の額
かつ
試験研究費の額 > ※基準試験研究費の額
※比較試験研究費とは、試験研究費の前3事業年度の平均をいう。
※基準試験研究費とは、前2事業年度の試験研究費のうち多い方の額をいう。
計算式:(試験研究費-比較研究費)×5%

税額控除限度額
・ 当期の法人税額20%が上限。
・ 控除限度額については、前期と比較して増加していることが前提で、1年間の繰越控除が可能。
・ 中小企業者の場合は最大、試験研究費×17%が可能。


2.平成20年度の税制改正

平成20年度4月1日から平成22年3月31日までの間に開始する各事業年度については、次のいずれかを選択



総額型
条件 : 計算式の改正なし
税額控除の上限は法人税額×20%

増額型
条件 : 計算式の改正なし
税額控除の上限は法人税額×10%(総額型と別枠)

高水準型
条件 : 試験研究費の額 > 平均売上金額×10%
計算式 :(試験研究費の額-平均売上金額×10%)× 税額控除率
税額控除率 =(試験研究費割合-10%)×0.2
税額控除の上限は、法人税額の10%(総額型とは別枠)

税額控除限度額
・税額控除の上限は、合計で法人税額の最大30%


3.試験研究費の範囲

(1)繰越資産の試験研究費のように「新たな」や「特別」という要件はなく「製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する費用」として、 通常の継続的な研究の費用も含まれる。

(2) 試験研究は、工学的・自然科学的な基礎研究、応用研究及び開発・工業化等を意味するもので、「製品の製造」又は「技術の改良、考案若しくは発明」に当たらない人文・社会科学関係の研究は対象とならない。
したがって、次の費用は含まれない。


4.試験研究費に含まれる人件費

(1)専門的知識をもって専ら従事する者に係るものに限る
したがって、例え研究所等に専属するものであっても、試験研究に直接従事していない次の者に係るものは、含まれない。


(2)研究を行いながら部下の管理を行っている者については、「専ら」要件を満たしているか、判断に迷うところですが、税務調査に際して人事管理はしておらず、試験研究のプロジェクトの管理している旨を説明すれば、認められる可能性はある。

(3)中小企業庁からの照会に対して、国税庁が回答した文書によれば、次の各事項のすべてを満たす者も該当する。


(4) 試作品の製作を製造部門に依頼した場合、付替えレートに含まれる人件費は除くこと。


5.試算研究費の損金算入要件

(1)損金算入された試験研究費の額が対象
したがって、減価償却費の損金算入限度超過額等は、試験研究費の額に含まれず、一方、これらの認容額は試験研究費の額に含まれる。

(2)売上原価に含まれている試験研究費の額が対象
したがって、期末在庫に含まれている試験研究費を計算しなければなりません。
又、試作品や貯蔵品などが在庫から漏れないよう注意して下さい。

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